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2002年春、京都は例年どおり修学旅行の生徒で賑わいます。京都「教育旅行」きもの夢体験を、実際に学び楽しんだ生徒たちの模様をレポートしてみました。
きものに袖を通した生徒たちは誰もが嬉しそう。違う自分発見のきっかけともなるきもの姿、それに伴っての見知らぬ土地での行動。成長過程にある彼らにとって大切ななにかを知り得ることに繋がるまさに「夢体験」だったと思います。さて、その全容は?
プロの着付師さんによる着つけ男子生徒はなかなか神妙。生まれて初めての袴の着心地はどんなものか。なんと言ってもお腹に肉が付いていないので帯の納まりが?お正月のバラエティ番組で見かけるようなアイドルタレント風です。
そして、賑やかなのは女子生徒。半襦袢と腰巻のつけ方がわからないとワイワイガヤガヤ。着付師さんの手が空く順番を待っててね。足袋は自分で履きましょう。草履に左右は決まってませんよ。
「かわいい」「かっこいい」と友達を誉め合う声が響きます。初めて見るきもの姿の友達はなぜか大人っぽい。「全然苦しくないよ」と元気いっぱい。まずはきもの姿最初の記念写真。金閣寺だったり清水寺だったりコースを決めてきているようです。出発を前の先生からの注意を聞きながら、気分はもう京都の街に。裾さばきや草履は大丈夫かな。
とにかくご飯を食べたい!足早にお店を決めなければなりません。街行く人の注目を浴びながらなんだかちょっと恥ずかしい。
軽く麺類で腹ごしらえをした後は地下鉄で移動、券売機で券を買って改札を通り抜けて...。目的の金閣寺までは途中で地下鉄を下車し、市バスに乗り換えるという行程です。事前にインターネットを使いアクセスは下調べ済み、便利な時代になりました。各班ごとにPHSが与えられ、先生は待機の場所でパソコンを作動させながらその居場所を確認するというシステム。これなら安心ですね。
地下鉄の中ではさっそく見知らぬ人に写真を撮られてしまいました。市バスに乗り換えるときはちょっと間違えちゃったかな?地下鉄の出口や市バスの停留所に戸惑いは隠せません。見知らぬ土地初めての着物、でも仲間と一緒だから心強い。ドキドキワクワク、自然と顔が上気してきます。やっと到着した金閣寺、黒門をくぐり広い境内の中を一生懸命歩きましょう。草履で歩くのにも慣れてきたころ、裾さばきもいたって自然です。日本人だね。やはり様になってます。すれ違う制服の修学旅行生に比べ、なんと大人っぽく目立つことでしょう。
「シャシン イッショニ トッテクダサイ」とさっそく外国人の観光客に頼まれてしまいました。「ドコカラキタノ?」「ナゼキモノキテルノ?」の質問にもちゃんと答えてあげました。でも、外国人観光者にはこの体験修学旅行の意味を理解するのはちょっと難しそう。自国に帰って彼らはこの可愛いきもの姿の少女たちをどう説明するのかしら。
「うわぁ、きれい!すごいね」。金色に輝く金閣を目の前にして一同大歓声。ポケットカメラでパシャパシャと撮影します。でも彼女らの姿そのものが、外国人観光客には珍しい。ここでも記念撮影を求められました。照れながらもだんだんカメラ目線が板に付いてきます。
参路を進むにつれ、彼女たちを囲む輪が大きくなり前にスムーズに歩けません。「マイコ(舞妓)サン?」と不思議がる声も聞こえます。横浜から修学旅行でやってきた京都において「半日国際親善大使」の役割を担った彼女達、本当にご苦労さまでした。
「カメラのフラッシュで目が痛くなっちゃった」「有名人の大変さがわかった」「きものを着たことによってこんなうれしい体験ができるなんて」「きものが大好きになった」「明日もまた着たい」と口々に感想を語る中、「もう、(日常では)きものを着ることはないのかなぁ」とも。『もう少し大人になったら、自分達だけでまた京都にいらっしゃい。その時もきものを着たらいいじゃない?この楽しみを覚えておいてね』。「はい、そうします」。こぼれる笑顔に、体験学習の大きな成果を確信しました。半日間の短い「夢体験」でしたが、何にも変えがたい大切な思い出を作ることができたようです。