円相

円相は禅語でもなく、禅画でもない。しかし、きわめて禅的な表現である。意味も一義的に明白なものはない。本来、言語同断な悟りの当体の仏性が真空無相でかつ円満浄明である仏性を円形を持って形象化したものが禅者の円相である。見る人が円をなんと解釈し、これをなんと見・謔、と「心々にまかせて」よいものである。

「円かなること太虚のごとし」「天上天下唯我独尊」「一段の風光描けどもならず」などいろいろと表現がことなります。最も多いのは、これを月に見立て「万里片雲無し」「明皎々白的々」「精光何れかの処にかなからん」など多くあります。これは向上した悟りの境涯を円相に託・オているものです。
円相の幅というものは、まことに含蓄が深く、滋味豊かなものであります。

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